遠き地の魂
衣に遠く青森の地で出会ったという一人の若い?!絵本作家さんがいる。
彼は数年前,自分探しの旅の途中で「ねぶた師」と出会い、毎年ねぶた制作に大阪から通っているうちに
「青森の神様に呼ばれた」
と発してアトリエごと自分の人生も青森の地に預けた人だ。
その彼がいつも遠い目で熱く語るのはねぶた制作のことばかり…
その熱意に影響され今年6月末、制作現場に立ち合わせてもらった。
その小屋は角材を無造作に組み、その周りに針金が絡み合い、墨とろうのにおいの中、和紙が散らばる、まるでガラクタ小屋。
設計図も無ければ指示書も無いねぶた造り…あるのは一枚の紙に描か
れた原画とねぶた師の頭の中にある出来上がり図のみ…。
私も思いつきで衣をつくるもののそのスケールの違いにただ、ただ脱帽。
隣の小屋では純白のねぶたが『師』に墨を入れてもらうのを待ってる。そのねぶたに光がはいった。
…錯覚に違いないのだが、確かに大きな吐息が聞こえた気がした。まるで永い眠りから覚めた得体の知れないものがドクンドクンと血を流し始めたように…。
それから1ヶ月ちょっと、夜の静寂を裂いて威風堂々としたねぶた灯籠は圧倒的な存在感を放ち動いた…。
長崎のしょうろう流しのようにねぶた人形にあの世の魂をのせ、川や海に流す風習の名残りと言われている海上運行。
ねぶた師にとって最高の栄誉である数々の賞を受賞したもの数台のみが船に乗せられ海の上を囃子や「ラッセーの」の掛け声とともに幻想的に流れていく。
…花火が夏の夜空を
焦がす中を…
雪に閉ざされた長く暗い時間、溜め込んでいた北国の人々のエネルギーが短い夏を熱く燃やしきるように火の祭りは街を包み込んで終わった。
この威光と名声の「ねぶた師」竹浪比呂央師から
「衣さんとコラボレーションして服を作りませんか」
とありがたい話をいただいた。
ねぶたの上に花火のあがった作品を来年はぜひお目にかけれると思います。
※写真説明
(上)「頼政 御所に 鵺を射る」 制作者 竹浪比呂央師
(中)(下)原画より制作されたねぶた

